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第148話 想い 3-4

 半ば言ったもの勝ちなこの状況で、自分は藤堂が好きなのだと改めて彼に会い実感し認めたら、いままで悩んでたものが全部すっ飛んで、どこか一人ですっきりしてしまった。 「藤堂、気のせいって言うならいまのうちだぞ」 「え?」  取り乱した藤堂に対する、これは強がりな嘘――今更そんなこと言われても僕はもう後には引けない。 「馬鹿なこと言わないでください」  小さく呟いた僕の声にため息交じりで藤堂が顔を上げる。ほんの少し怒ったような表情に瞬きすれば、髪に触れていた手を掴まれた。 「それは俺の台詞です。でも、俺は気のせいなんて言われても離してあげないですけどね」  そう言ってゆっくり口角を上げ笑うと、藤堂は掴んでいた手の指先にそっと口づけを落とした。時折こうして触れる藤堂の仕草に、胸が締め付けられる想いがするのはなぜだろう。恥ずかしさや戸惑いではない。愛おしさであるのは確かなのに、その胸の痛みの理由はまだわからない。 「俺はあなたが誰よりも好きです」  そう言って優しく笑う藤堂に、開き直っていたはずの気持ちはたやすく打ちのめされた。火照る顔とひどくうるさい鼓動はやはりいつもと変わることがなかった。やはり藤堂には適わないということだろうか。藤堂の気持ちはすごく嬉しいのに、それが少しだけ悔しく思えた。僕の意固地で見えっ張りな部分がこんなところで顔を出してしまった。  でも目の前で笑っている藤堂を見ていると、そんなくだらないことはどうでもいい気分になる。

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