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第158話 想い 6-2
「ああ、ライオンね。確かに」
窓から差し込む日差しに透け、峰岸の薄茶色の髪が綺麗な黄金色に見える。そして普段は下りている長い前髪がピンで留め上げられて、まるでそれがライオンのたてがみのように見えた。
「めんどくさがりなのに、ニッシーなんで顧問なんて引き受けちゃったんだ?」
「うーん、成り行きで」
軽くそう返事をすれば、身を乗り出すように両腕を机の上に置き、神楽坂は顎をその腕に乗せた。
「ニッシーは相変わらず流されやすいね」
「そうか?」
僕はそんな神楽坂に肩をすくめると、再びゆっくりとペンを動かす。流されやすいと言うか、致し方なくというのが正直なところなんだが、大人の言い訳をするのもなんなので神楽坂の言葉はさらりとスルーした。
「そう言うお前だって、流されやすいだろ。しっかり仕事しちゃって」
普段はやんちゃなイメージが強い神楽坂だが、ここでの様子を見ると実にしっかり者で実行委員長の役割を十分過ぎるほどに果たしていた。馴染みやすい性格が幸いして周りからも慕われているので余計だろうか。
「ちっがうから、これには深い深い理由があるんだよ」
ムッと口を尖らせた神楽坂にふぅんと相槌を打てば、彼はますます不機嫌そうな表情を浮かべる。そんな子供っぽい反応に僕はなぜかひどくホッとした。
「お前は子供らしくていいな」
「なんだよそれ、ニッシー俺のこと馬鹿にしてんの?」
思わず口をついて出た言葉に、神楽坂は不服そうに口を尖らせた。
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