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第164話 想い 7-3

 嫌がることをして喜ぶなんてどれだけ子供なんだと突っ込みたくなるが、にやにやと笑っている峰岸を見ているとなにも言えなくなる。こちらにまで火の粉が降ってくるのは嫌だ。 「とりあえず峰岸はその悪い癖、気をつけろよ」 「うーん、気をつけようがないけどな」  いつものように、悪びれた様子もなく肩をすくめるその姿にため息がもれる。悪い奴だとは思わないけれど、この王様気質どうにかならないものか。でもやはり峰岸だから仕方ないなぁと思ってしまう自分もいる。 「あ、そうだ、会長。さっき聞きたかったんだけど」 「なんだよいきなり」  なんとも言いがたい雰囲気が漂っていたが、それを打ち破るように神楽坂がその場で立ち上がり挙手をする。あまりにも突然過ぎる行動にさすがの峰岸も訝しげに目を細めた。 「いや、会長が仕事してるあいだって話しかけにくいから、みんな困ってたんだよね、ねぇ」  そう言って神楽坂が後ろを振り返れば、周りの者たちもぎこちなく頷いた。 「そのままにしとくなよ。つうか、捕って喰うわけじゃないんだから、声かけろ」  峰岸のその言葉に一瞬だけ――いや、喰われそうだ、というみんなの声が聞こえそうなくらい、微妙な空気になった。けれど峰岸はブツブツ言いながらも、ほかの生徒たちがいる場所へ足を向ける。色々と目に余る部分はあるけれど面倒見は悪くないんだな。 「神楽坂」 「ん?」  峰岸がいなくなると、その背を追おうとした神楽坂をふいに藤堂が呼び止める。

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