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第165話 想い 7-4
「悪い」
「いいや、なんか俺たち馬に蹴られて死んじゃえ的な?」
藤堂の言葉に満面の笑みを浮かべそう返した神楽坂は、何事もなかったように去っていった。そして僕ら二人は神楽坂の背中を見送りながら、目を丸くしそのまま固まってしまう。
「藤堂、神楽坂になんか言ったか?」
「いえなにも」
「そうか」
なんとも言えない雰囲気に僕は小さく息を吐いて、とりあえず開きっぱなしの弁当へ箸を向けた。黙々と箸を進めていると、頬杖を突いたままそれをじっと見ていた藤堂が、突然なにかを思い出したように身体を起こす。
「そうだ。今日は一緒に帰れますか?」
「ん、まあ。帰れないことはないかな。少しここに顔を出さないと駄目だけど、そんなに遅くならないと思う」
基本、書類の承認だけしてくれればいいとのことだが、放課後は一、二年の実行委員と一部の三年が集まるらしいので、顧問としては少し顔を出さないと体裁的にまずいらしい。言われるまでもなく昼と放課後はできる限り出るつもりではいたが。しかしそう考えると生徒会役員は朝から晩まで大忙しだなとしみじみしてしまう。
「じゃあバイト休みなので、準備室で待っててもいいですか」
「え、ああ、そうなのか」
思いがけない誘いに少しだけ心臓の辺りがぎゅっとなって、頬が熱くなってくる。そして藤堂が嬉しそうに笑えば、加えて心臓が跳ねた。
我ながら恥ずかしいことこの上ない。
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