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第222話 休息 13-1

 薄いカーテンの向こうから差し込む月明かりに照らされた肌。そこに形のいい鼻梁と長い睫が影を落とす。そして長い睫が呼吸に合わせて時折微かに揺れる。  いつもはじっとこちらを見る目が瞼の下へ隠されている、ただそれだけなのに普段よりずっとその雰囲気が幼く見えた。 「さすがにこれは狸寝入りじゃないよな」  無防備な寝顔を覗き込み僕は小さく息をついた。寝息は規則的でそんな心配もなさそうだ。しかし枕に散るサラサラとした髪をすくい撫でると、ほんのわずか眉がひそめられ藤堂が身じろいだ。 「……触り過ぎた」  再び起きていないことを確認してほっと息を吐く。 「まさかこれを見越して嫌だったとか?」  泊まると決まったあと、最後まで一緒の部屋に寝るのは嫌だとごねた藤堂を思い出す。明良はその様子をニヤニヤとしながら見ていただけだったが、そんなに嫌がられるほど僕は四六時中触るような触り魔ではないつもりだ。  しかし藤堂を見るとつい触れたくなるのは事実で――。 「落ち着くんだよな」  藤堂に触れているだけで、気持ちが穏やかになる。普段も彼が抱きしめてくれたり、手を繋いでくれたりするだけで、落ち着く。 「でも、これじゃ安眠妨害だよなぁ」  最初はちゃんと僕がベッドで横になり、藤堂は床に敷いた布団へ入った。もちろんそのまま一旦眠りはしたのだが、なんとなく途中で目が醒めたら眠れなくなってしまった。そしていまは彼の横に寝転び、その寝顔を眺めている。  我ながらこの行動はどうかと思うが――触れたいと思う衝動に負けてしまう。

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