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第223話 休息 13-2
「いい迷惑だよな」
「……ん」
一人で自問自答しながら自己嫌悪に陥っていると、思いのほか大きく出たため息に再び藤堂が身じろいだ。そして今度は薄らと瞼が開き、ぼんやりとした表情で僕を見つめる。
「佐樹さん?」
「悪い、起こしたか?」
じっとこちらを見たまま動かない藤堂に目を瞬かせると、徐々に頭が覚醒してきたのか藤堂の目が次第に見開かれていく。
「どうした?」
目を醒ましたかと思えば、突然布団を跳ね飛ばし藤堂は起き上がった。そして身体を起こした僕から、まるで逃げるかのようにものすごい勢いで後退してしまった。
「な、なにをしてるんですか」
「いや、別になにも」
珍しく上擦る藤堂の声に驚きながらも首を傾げれば、微かに藤堂の顔が引きつった。
「勘弁してくださいよ」
そして両手で顔を押さえうな垂れる藤堂に、僕はますます首を捻る。しかし藤堂はブツブツと何事かを呟きながら俯いたままだ。いつまで経っても顔を上げる様子のない藤堂に痺れを切らし、僕は布団を挟んで向こう側に行ってしまった彼の傍へ寄る。
「藤堂?」
そっと俯いた顔を覗き込むと、肩を跳ね上げた藤堂の後頭部で鈍い音がした。そして背後の棚で激しく頭を打った藤堂はその音と共に再び俯く。
「だ、大丈夫か」
慌ててその頭を撫でれば、そこはほんの少し熱を持っていてどれほど強く打ったのかがわかる。それにしてもこんなに落ち着きのない藤堂は初めてだ。
「大丈夫です」
そう言ってやんわりと藤堂は触れる僕の手を下ろして、長い息を吐き出した。
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