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第233話 ランチタイム(1)

 いつもは準備室にこもってしまいがちな昼時。今日は珍しく外に出ている。そこは以前、三島に連れられてきた食堂裏のカフェテラスだ。ただそこのテーブルは少し手狭だったので、校舎から離れた芝生でシートを広げ、天気もよくちょっとしたピクニック気分。 「楽しそうですね」  ほんの少し浮かれた僕の気持ちを感じ取ったのか、横並びに座っていた藤堂が目を細めて笑った。普段は藤堂が一人分の弁当を作ってくれるのだが、時々三島たちを含めて一緒に食べることがある。 「と言うか、西やん最近お昼時はご機嫌だよね」 「そうか?」  藤堂の笑みと彼の手の動きを目で追っていた僕に、真向かいに座る三島が至極楽しげに笑った。言葉の意味があまり理解できず首を傾げると、さらに声を上げて笑う。 「ご飯待ってる雛みたい」 「雛?」 「食べることに積極的になってくれたなら、俺の苦労も報われますけど」  楽しげに笑う三島と小さく笑った藤堂が、人の顔を覗きながら笑い合う。ますます首を捻れば、目の前に箸を添えた皿が差し出された。 「これ、先生の分。ほかに食べたいものあったら言ってくださいね」  目の前に広げられた重箱から、藤堂が一通りの料理を移してくれる。その皿を見下ろして、僕はふといつものように浮かぶ疑問を口にした。 「なんでわざわざ取ってくれるんだ」 「それは先生が遠慮体質だからです。黙っていたら箸を出さないでしょう? それにこうしないと、ほとんど食べないうちになくなっちゃいますよ」  一瞬だけ苦い顔をして固まった藤堂に目を瞬かせると、小さなため息をついて肩をすくめられる。
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