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第235話 ランチタイム 3

「よく買えたな」  これは売り切れ必至で買えないことが多い。 「……だって、罰ゲームだもん。めちゃくちゃ必死で並んだわよ」 「罰ゲーム?」  ムッと口を尖らせながら、片平は手にしたシュークリームの袋を破いてそれを頬張る。拗ねたようなその表情に首を捻ると三島が小さく笑い声を上げた。 「最近優哉が寝坊しないから、あっちゃん負けること多いよね」 「もうやめる、つまんない。寝坊しない優哉じゃ意味がないもん」  三島の声にまるでハムスターかリスのように頬を膨らませた片平に、思わずため息が出る。横でしれっとした顔で食事を続けてる藤堂を見れば、ふいに視線が合い目だけで笑われた。 「一体なにを賭けてるんだ?」 「あっちゃんは優哉が毎朝、チャイム一回で出てくるかを賭けてるんだよ。前は優哉が連敗だったんだけどね。負けたら一つお願いを聞かなくちゃ駄目なんだ」  首を傾げる僕に三島は、笑いをこらえながらことの子細を教えてくれる。しかし寝起きの悪い藤堂は毎朝二人に起こされていたわけだから、負けを端から承知していたも同然ではないだろうか。それは賭けになるんだろうか? 「今日の賭けの報奨は?」  まさか金銭ではないだろうが気になってしまう。 「なにって、ほら、それよ。今日は私のお昼のデザートか、西岡先生のデザート」 「は?」 「先生って甘いもの好きだったんだね」 「えっ?」  片平の言葉に勢いよく藤堂へ向き直ると、急に噴き出すように笑い肩を震わせた。  確かに僕は紛れもなく甘党だ。和菓子も洋菓子もなんでも好きで、一日一回必ずなにかしら食べているのも事実。でも藤堂といる時にそれをしたことはなかったはずなのに。
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