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第250話 Feeling 2-2

「誰かいるか」  扉の向こうへ峰岸が頭を突っ込み、その奥へ声をかけると、大きな声が返ってきた。 「あっれぇ、一真くん? 久しぶりだね」 「よお、ミキティ相変わらずでけぇな」 「一真くんあのさぁ、そのあだ名もうやめようよ」  峰岸の笑い声と共に少し情けない声が聞こえてくる。その様子に首を傾げていると、ふいに手を引かれて扉の奥へ連れ込まれた。入ったそこは更衣室だろうか、長椅子やロッカーなどが隙間なく配置されている。 「ん、あれ? こちらは」  聞こえてきた声につられて顔を持ち上げれば、不思議そうな顔をして僕を見下ろす青年が一人。コックコートを着たその彼は、峰岸が言ったとおり随分と背が高い。自分の周りでは三島が一番背が高いと思っていたが、恐らくそれよりも高いのだろう。後ろに反れた首が痛い。 「ああ、この人はうちの学校のセンセ」 「そうなんだ。じゃあ優哉くんの先生でもあるんだね。はじめまして、俺は三木瑛冶って言います、よろしく」 「あ、はじめまして西岡、佐樹です」  人懐っこい笑みで差し伸べられた彼の手を取ると、いきなりそれを勢いよく縦に振られる。しかし驚きつつそれを見つめていたら、その動きを遮るように峰岸の手が上に重ねられた。 「おい、センセの腕がもげるだろうが」 「ごめんごめん。あ、マネージャーに用だよね?」  目を細めた峰岸に対し軽快な笑い声を上げ、三木さんは僕の手を離し部屋にあるもう一つの扉を開けて大声で叫んだ。

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