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第255話 Feeling 3-2
「なあ、藤堂。本当のところどう思ってた?」
「なんでそんなに気になるんですか。俺はずっと佐樹さんが好きですよ」
「……ん」
眉をひそめた藤堂の目をじっと見つめると、彼はふいに困ったような笑みを浮かべた。
「俺も相当ですけど、佐樹さんも心配性ですね」
「あ、悪い。鬱陶しい、よな」
それは――痛いほどわかっている。けれど、なんとも言いがたい感情がこみ上げて、胸がずしりと重くなる。
「最初に言っておきますけど。俺はいまもそれ以前もあなただけですから」
「ああ」
念を押すように僕を見つめる藤堂の視線から、つい逃げて俯いてしまった。そんな僕にほんの少し肩をすくめ藤堂は笑う。
「……あいつの気持ちは知っていましたよ。でも、向こうも多分それに気づいてはいたんじゃないですかね」
「えっ」
「けど、俺はあいつに対してそういう感情はなかったので……お互い、異種的な恋愛観の持ち主じゃなければ、いい友人くらいには、なれたのかもしれないですね」
驚いて跳ね上がった僕の肩に腕を回し、藤堂は小さく笑いながらそれをゆっくりと自分の肩口へ引き寄せた。
「本当になにも思わなかったのか?」
「……そうですね」
思わず詰め寄るように胸元を握れば、ほんの一瞬だけ、呆れたような眼差しがこちらを見下ろした。
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