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第256話 Feeling 3-3

「悪い、やっぱりいい。みっともないよな」 「別にいいですよ。それだけ佐樹さんが俺に執着してくれてるってことでしょう?」 「いま、呆れただろう」  先ほどの目を思い出すと、胸の辺りがざわめき、自分の感情があまりにも幼稚で、恥ずかしくて、逃げ出したくなる。 「呆れたと言うか、びっくりしたが正解ですね。そんなに泣きそうな顔で言われたら、冥利に尽きると言うか、いますぐにでも攫ってしまいたい」 「え?」  思いがけない言葉に顔を上げると、至極優しく微笑む藤堂の顔が目の前に迫った。それに驚く間もなく唇を塞がれれば、息すら絡め取られてしまうのではないかと思うほど、深い口づけに捕らわれた。 「ん、……ん」  鼻から抜けた自分の声に、身体の熱が一気に顔に集中したような気がする。しかし縋るような甘さを含んだそれを、耳を塞いで遠ざけたいと思っていても、藤堂の背中にしがみつくので精一杯だ。けれど頭がぼんやりとして、息苦しくてたまらないのに――ひどく満たされてしまう。 「大丈夫ですか?」  ゆるりと離れていく唇を名残惜しげに視線で追えば、再びそれが近づき軽く啄むように触れる。口元で鳴る小さなリップ音に思わず身体が震え、力が抜けた。

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