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第258話 Feeling 4-1

 現に、いつも峰岸のことを邪険に扱って怒ってはいるけれど、一度も突き放すようなことはしなかった。険悪に見えても藤堂は嫌ってはいないんだと思う。どこかで仕方ないなと思っているのかもしれない。 「い、いきなり、変に冷静な分析しないでください」  じっとまっすぐに見つめたら、ついには頭を抱えて俯いてしまった。そんな藤堂の顔を覗けば、それを阻むように胸元へ顔を押し付けられてしまう。 「なあ、どうだった?」 「……」  押し黙る藤堂の胸元からは忙しない心音が聞こえる。戸惑いなのか、焦りなのかはわからないが、その音にしばらく耳を傾けた。 「最初に言ったことは忘れないでくださいね」 「ん、わかってる」 「……思ったことは、ありました」  ぽつりと小さな声で呟いた藤堂の言葉に、ふぅんと相槌を打ったきり、僕は口を閉ざした。けれど傷ついたと言うわけではなく、なんとなく納得したというのが正しい気がした。  だからただ――確かめたくなっただけなんだ。 「佐樹さん?」 「ん、ああ。悪い、怒ってるわけじゃなくて。お前たち見てると水と油だろ? よくずっと一緒にいたなって思ってたから、納得した」  窺うような藤堂の声に顔を上げれば、困惑した眼差しがじっとこちらを見ていた。

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