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第262話 邂逅 1-1

 窓から見える夕焼け空の景色の中に、グラウンドで走り回る運動部の生徒たちや、下校する生徒たちの姿が見えた。  久しぶりにやってきたこの部室の窓からは、相変わらず色んな景色が見える。机上に散らばった写真を片付けながら、ふと長いこと見つめていた窓から視線を外し、僕はそのあいだずっと閉まったままの扉を振り返った。 「お前ら、いつまでやってるんだ」  ほんのわずか隙間を空けて、中を覗く。明るいこちら側の室内に比べて、向こう側は真っ暗だ。けれどカーテンの隙間から奥へ視線を向けると、セーフライトの赤い光が見えた。目を細めて人の気配を探れば、それを察する前に楽しげな声が聞こえてくる。 「これすっごいピンボケ」 「ちょちょ、これ天才的だと思わねぇ」 「ああ、これやっぱあっちで撮ればよかった」  暗い室内ではこちらのことなどまったく気づいていない様子で、皆様々にネガを覗いたり、写真を吊したりしていた。 「あ、ごめん西やん。なんかいま盛り上がっちゃってる」  ふと目の前が遮られ、上から降ってきた声に顔を上げれば、三島が少し困ったように僕を見下ろしていた。その顔に肩をすくめて笑うと、背後を指さされ、促されるように僕は扉から身を離した。 「しばらくあの調子かも」  暗室から出てきた三島は手近の椅子に腰かけて、机上に置いてあったペットボトルを掴む。 「ごめんね、代理で来てもらってるのに」 「いや、これから展覧会もあるから仕方ないだろ。それに代理顧問とは言っても、いつもと変わらず大して僕のすることはないからな」  所詮代理と言っても、顧問の先生が不在の時に部室内の施錠確認や備品管理をするのが精々だ。今日は特にすることもなかったので部室に顔を出しているだけのこと。本来だったらわざわざ部室に来る必要もない。

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