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第263話 邂逅 1-2

「うーん、三年なんかは最後だから、余計気合いが入っちゃってるんだよね」  封の開いていないお茶のボトルを僕に手渡しながら、三島は苦笑いを浮かべる。その顔に小さく笑って僕は三島の向かい側の椅子を引いた。 「そうだよな。やっぱり最後となると入れ込み具合も違うよな」 「そういえば昔、西やんも写真部だったんでしょ。どのくらいやってたの?」 「中学、高校だけ。大学までは続けなかった」 「そうなんだ」  なにかと代理を頼まれるのは、昔少しだけ経験があるという簡単な理由。でもここに来ると少し懐かしい気分にはなる。いまの三島たちのように楽しんでいた学生時代を思い出す。 「うちの写真部は誰もデジタルのやついないんだな」 「うん、顧問の先生のこだわりでもあるんだけど。フィルムのほうが味があるからって、部活内ではデジタルカメラは禁止なんだよね」  部内の戸棚に並ぶ備品のカメラは、古いものから新しいものまですべてアナログの一眼レフ。きちんと整備されているのかどれも現役だ。顧問の先生はいささかカメラオタクなところがあるのでなおさらか。 「まあ、気持ちはわかるけど」  昔は僕もアナログのカメラを触るのが好きだった。手間をかければかけるほど思うような写真が撮れるようで、それがすごく楽しかったんだ。いまは性能のいいデジタルカメラで簡単に綺麗な写真が撮れるけど。 「いまでも結構好きなんだ」 「まあな」  いまでこそ写真を撮ること自体少なくなったが、それでもいまだにカメラを触ったり見たりすればワクワクするし、写真展や展覧会に行くのも好きだ。

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