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第267話 邂逅 2-2

「西岡先生ばいばい」 「先生さようなら」  次々と頭を下げて去っていく生徒たちにひらひらと手を振れば、いつの間にか室内には片平と三島、そして自分だけが残された。 「弥彦、今日もまたおじさんは遅いの? ご飯どうする?」 「うーん、今日は大丈夫。残り物もあるし、なんか適当にやるよ」  ほかの生徒たち同様、荷物を片づけていた片平が三島を見ながら首を傾げる。それに対して三島はゆるりと笑みを浮かべて首を振った。 「なんだかお前ら夫婦みたいだな」 「は?」 「え?」  ごく自然な二人のやり取りに思わず口が滑る。当然言われた二人は目を丸くして固まった。 「悪い。変な意味じゃなくて」  一瞬、しんと静まり返った室内に、僕は慌てて首を振った。付き合っていそうとかそんな意味ではなかったのだが、変な誤解をさせたかもしれない。 「夫婦ってより、弥彦はデカい弟みたいな感じよねぇ」 「まあ、俺たち家族付き合いが長いから、弟も普通にあっちゃんのこと姉ちゃんだしね」  慌てふためく僕に、二人は似たような表情を浮かべて肩をすくめる。どうやら僕が思うよりも先ほどのことは気にしていないようだ。少しほっと息をついてしまった。 「普段から一緒のことが多いし、もう家族みたいなものよ」 「ふぅん、楽しそうだな」  なんだかすごく賑やかで仲のよさそうな家族だなと思った。僕の家族は普段から全員集まることは少ないが、たまに揃った時の一家団らんな雰囲気はやはり好きだ。

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