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第270話 邂逅 2-5
「反抗期、なのかなぁ。前に言ったでしょ。中学までは全然喋らない、笑わない、物事興味なしって」
「ああ」
でもいまは毎日のように声を聞かせてくれるし、笑顔を見せてくれる。それにバイトを一生懸命やってる姿を見れば、興味がないなんてことはありえないだろう。
「んー、なにかあったのか、中学の頃」
「あれ、西やん。これもう一枚あるよ」
「ん?」
一人で唸っていると、三島が手元の写真を指先で引っ張る。すると藤堂の写真に重なっていた、もう一枚が下から出てきた。
「これ誰だ」
「え? これも優哉だよ」
「これ、藤堂?」
三島の言葉に、思わず二枚を並べて見比べてしまった。
一枚はいつもの藤堂。けれどもう一枚は見慣れない制服をきた青年、いや制服と言うことは少年か。本当にどちらも藤堂なのだろうか。雰囲気が随分と違い過ぎる。随分と大人びた眼差しだ。でもこの藤堂はどこかで見たことがある。
「これいつ頃の写真?」
「えーと、この髪の長さは、多分。中三くらいかなぁ」
「ふぅん」
それはいまから約二年と少し前だ。入学した時の藤堂はいまと同じだったのだろうか。それともこの写真の藤堂だったのか。藤堂と僕は一番初め、一体どこで出会ったのだろう。
藤堂が中学三年の頃――僕の記憶に残るものが間違いでなければ、確かにこの写真の藤堂と出会っていたはずだ。
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