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第315話 邂逅 12-2
「……そうですか。あ、もう試験場のほうには生徒さんたち集まってるみたいですよ」
「そうか、もうそんな時間か」
「今年は大丈夫でしたけど、いつだったか雪が降って、電車が止まったりなんてニュース見た覚えがあります」
「あったなぁ、そんなこと」
そっと戸の隙間から廊下を覗けば、試験場の外にある廊下でひどく難しい顔をしている子たちがいた。頑張っている子たちすべてが合格すればいいのにと、毎年そう思わずにはいられない光景だ。
「余計なこと、考えてる場合じゃないよな」
ぼんやりとした頭のままでいると、上手く行くものも行かなくなる。それでは頑張っているあの子たちに申し訳ない。
「少し外に出てくる。十五分前には戻る」
「大丈夫です。ちゃんと見ておきますから」
風邪と入院ですっかり不在になってしまった僕の補佐に任命された間宮だったが、相手が僕とわかっていたせいか、渋ることもなく快諾したらしい。その話を聞いた時はわかりやす過ぎるとつい笑ってしまったが、おかげでこちらは気持ちが軽くて助かる。
「ああ、いい天気だ」
外に出て空を見上げると、雲を押し退けたような青空で太陽がキラキラと輝いている。夏のそれとは違うどこか柔らかい陽射しは、たまらなく気持ちがいい。僕は腕を上げて思いきり伸び上がった。
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