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第366話 予感 2-4

「これ、今日のお昼。ここに入れておきますね」 「あ、ああ。うん」  少し戸惑ったような気配を背中に感じたが、俺は振り返らずに机の横に備え付けてある小さな冷蔵庫の前にしゃがみ込んだ。 「あ、いつも悪いな。というか昨日は急に悪かった」 「大丈夫ですよ。まだバイト中でしたし、準備はしていなかったので」 「そうか」  手にしていた紙袋の中身をすべて冷蔵庫の中に入れ、どんどんと小さくなる声を訝しく思いながら振り返ると、思いのほかすぐ傍にいた彼に言葉が詰まった。 「なにか、あったんですか?」 「いや、母親がしばらく泊まることになってさ。一緒に住んでる姉さんが長期出張とかで、そのあいだ一人も危ないから、うちにいてもらうことにしたんだ。お前にロクな説明もなくあんなメールして悪かった」 「そうだったんですか」  滅多に連絡をして来ない彼から、昨日の夜にメールをもらった。しばらく夜の分は作ってくれなくていいという内容だったが、そういう理由かと少しほっとしてしまった。 「迷惑だと感じることがあれば言ってくださいね」 「え?」 「俺が勝手にしていることですし」  まともな食事をしようとしない彼に、なりゆきで昼と夜の食事を用意するようになった。最初は申し訳ないと言っていた彼も、近頃は素直に受け取るようになってくれた。でも強引な自分の行動で気を使わせていないか、少し不安もある。 「迷惑どころか、すごい助かってるぞ」 「そうですか。よかったです」

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