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第372話 予感 3-4
「はーい、サインとかもらえますかっ」
そんな打ちひしがれている生徒を尻目に、女子が数人声を上げる。
「さぁ、その辺は先生全然わからない」
「えぇーっ、顧問でしょ」
「気になるなら、実行委員か生徒会に聞いてくれ」
詳細は相変わらずノータッチでさっぱりわからない。ほとんどは峰岸が仕切っているから、僕は本当に名前だけの判子押し担当だ。しかし思えばかなり濃い三週間だった。連休前に峰岸から顧問を頼まれた時はどうなることかと、正直不安で仕方がなかったけれど。長いようであっという間な時間を過ごした。創立祭が終わる頃には元々の担当教諭、間宮が帰ってくる。そうすれば僕の役目もやっと終わる。
「はい、この話はここまで」
ごねる生徒たちに肩をすくめると、タイミングよくチャイムが鳴り響く。僕はその音と同時にそそくさと教卓の上を片付けそれらを小脇に抱えた。
「じゃあ、次回は二章から始めます」
そのまま長居をすると話に巻き込まれ、休憩時間いっぱい引き止められる可能性がある。いまだざわめく教室を、僕は少し急いであとにした。
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