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第384話 予感 6-3
ワントーン下がった峰岸の声に身体が無意識に後ろへ逃げを打つ。しかしにんまりと満面の笑みを浮かべた峰岸がこちらへ向き直り、人の腰を両手で掴み引き寄せようとする。
「じょ、冗談だろっ」
思わず大げさなほど叫んでしまった僕に、あ然とした雰囲気で野上と柏木が振り返る。けれどそんな視線は気に留めている余裕はなく、とりあえず僕は両手を峰岸の肩に当て腕を突っ張らせた。
「俺、学習能力ない奴……好きだぜ」
その腹黒さはどこから来るのだと言いたくなったけれど、それはなんとか飲み込んで口をつぐんだ。目の前の笑みは僕の反応を面白がっているのがありありとわかる。どうやら僕は失敗をして峰岸の変なスイッチを押したようだ。
「冗談聞けない奴は嫌いだ! 尻を触るな!」
器用に両腕で腰を抱きかかえ人の尻を触る――どころかそれを通り越し、鷲掴みする峰岸はさらに楽しげに笑う。
「減るもんじゃないだろ」
「減るっ」
「減らねぇって、こんなちっちぇケツ、減りようないって。そこら辺の女子から肉分けてもらえば」
「うるさいセクハラ大王」
薄っぺらい尻を触ってなにが楽しいのだ。腕に力をこめて僕の身体を抱きしめながら、峰岸は一人さも楽しそうに笑い出す。
「あらあら、まあ随分と楽しそうですわね」
そんな騒がしい生徒会室に至極のんびりとした落ち着いた声が聞こえてきた。その声に僕が振り返るのと同時か、野上がこれまたのんきな声を上げる。
「あ、ゆかりん。部活終わったの? お疲れ様ぁ」
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