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第413話 波紋 1-4
来賓と送付用の創立祭記念名簿は印刷会社に頼んだしっかりした装丁のものだけれど、学校職員分は経費削減のために、生徒会役員がすべて印刷と製本をしていた。
「印刷だけでも大変だっただろうな」
中を確認すると、午後の出席者名簿だけではなく、今回来校する全員分の名簿と創立祭自体に参加はしないが、電報などで寄稿した各人の名前や企業名も一緒にまとめられていた。
名簿の半数以上が父兄、けれどOBの名前もかなり多かった。偏差値はそれほど高くないが、意外とうちの高校は進学率も就職率もいいほうだ。有名大学や企業の名前が多い。
「これだけあれば毎日やってもなかなか終わらないはずだよな」
日が暮れるまで毎日分厚いファイルをめくっていた役員の姿が、今更ながらに思い起こされる。
「……え?」
なに気なく眺めていた懇談会の出席者名簿。けれどふいに視線が止まったその名前に、一瞬目を疑ってしまった。
「まさか、来るのか」
思いもよらないその名前にやたらと鼓動が速くなる。見覚えのある名字はうちの学校には一人しかいない。嫌な夢や予感、藤堂の音信不通が続いてまいっている自分にはかなり大きな衝撃だ。本当になにかが起きそうで背筋が寒くなった。
「おい、西岡ぁっ」
「……っ」
離れた場所から自分を呼ぶ飯田の声に、飛び上がるように立ち上がり、開いていた名簿を勢い任せに閉じる。息苦しさと共にほんの少しめまいを感じた。
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