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第414話 波紋 2-1
なにかが起きそうなのではなくて、もしかしたらすでに起きているのかもしれない。そう思ってしまうのはやはり藤堂の急な音信不通と、最近の峰岸の行動。様子のおかしかったあの日から、やけに僕へ絡んでくる。いつもの悪ふざけかとも思ったけれど、なんとなくいつもと違う気もした。
峰岸ならなにかを知っているかもしれない。
「あ、れ? 峰岸はどこ行った」
職員会議が終わり、いよいよ来賓の受付も始まる頃合い。生徒会室へ行くと、峰岸の姿が見当たらない。忙しそうに一、二年の実行委員たちと打ち合わせしている役員の中で、鳥羽が僕の声に気がつき顔を上げた。
「あら西岡先生、おはようございます。会長は休憩だと言ってふらりと出て行きましたわよ。多分屋上じゃないかしら」
「屋上?」
鳥羽の言葉に僕は視線を室内から廊下の先へと向けた。
生徒会室は三階で、廊下の端に屋上へと続く階段がある。基本出入りは自由なので、昼間などはよく弁当を開いている生徒の姿も見かける場所だ。
「そうか、ありがとう」
「あっ、西岡先生。会長に会ったらそろそろ戻るよう言っていただけます?」
「わかった、言っておく」
戻ったら自分も手伝うと鳥羽に礼を言って、僕は少し早足に廊下を抜け屋上へ続く階段を駆け上がった。
扉を押し開けば、青空から降り注ぐ太陽の光が視界に広がり、目が自然と細められた。
「峰岸? いるか」
背の高いフェンスがぐるりと周囲を囲む広い空間。眩しさに片手でひさしを作り見渡すが、そこに峰岸の姿はなく、僕はさらに奥へと足を進める。すると配電盤室の日陰で腰かけ、壁に寄りかかっている峰岸の姿を見つけた。
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