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第417話 波紋 2-4
「あいつの母親が動いてるってことは、あんたにとっていいことじゃないのは確かだな」
「でも藤堂は親とはほとんど関わりがないって」
「関心がないから放ってるんじゃねぇ。そこに明確な意志があるんだよ」
どこか苛立ちを含んだ峰岸の声にびくりと肩が震える。それと共に腕を掴む峰岸の手に力がこもり、身体は無意識に萎縮してしまう。
確かに、思えば峰岸が藤堂と離れざる得ない状況になったのも、藤堂の母親が現れたからだ。彼女は一体なにを考えているのだろう。急に色んなことが起きているのは、もしかしたら僕とのことが?
「その様子じゃ、あいつからなんのフォローもないんだろ」
「それは」
フォローどころか連絡さえつかなくなった。けれどいまそれを口にするのは躊躇われた。峰岸の苛立ちがさらに募りそうに思えたからだ。
「そんなんでセンセ幸せになれんの? よく言えば不器用って言えるけど、あいつのやってることは、俺から見れば自分勝手でしかねぇと思うけど」
歯に衣着せぬ峰岸の言葉に胃の辺りがカッと熱くなった。ふっと湧いた怒りにも似た感情に戸惑いながら峰岸を見返すが、僕の視線など物ともせずに、呆れを含んだ眼差しが僕を見下ろす。
「それでも僕は」
「いい加減にしろよっ」
「……痛っ」
ガシャンという音が背後で響く。勢い任せに腕を引かれた僕は、近くのフェンスに思いきり押し付けられていた。
「自分に言い訳してんなよ。不安でしょうがねぇんだろ? だからあんたはこうやって俺の前に現れてんだろが」
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