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第469話 波紋 13-4
これから先なにが起こるかなんてわからない。でも藤堂が僕の傍で寄り添っていてくれる限り、離れないと約束できる。矢面に立たされることよりも、藤堂の手を離すことのほうが僕には辛い。
「自分の選んだ答えと僕を信じろ」
藤堂の腕をやんわりと解き、僕は視線を合わせるよう振り返った。まっすぐと眼鏡の奥を見つめれば、その目は不安の色を浮かべた。
「約束する」
「え?」
僕が差し出した小指に、藤堂は目を丸くして驚きをあらわにする。そんな表情に思わず僕が笑えば、ますます不思議そうな顔をした。
「この先なにがあっても僕は諦めない」
これからの未来のひとつひとつ――藤堂、僕、そしてそれに関わるすべての人。どんなに辛くても苦しくても、それを諦め投げ出したりはしないと誓う。
「お前が僕と一緒にいることでなにかを諦めるのなら、僕はこれからお前とは一緒にいられない。傍にいることがお互いのプラスにならないなら、一緒にいる意味がなくなる。だからお前も諦めたりしないでくれ。僕はこれからもお前と一緒にいたい」
もしかしたらこれはあまりにも独りよがりで一方的な約束かもしれない。けれど一緒にいるなら、少しでも互いに幸せでありたい。どちらかが我慢をしている関係なんて、いつか一緒にいることが辛くなる。
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