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第491話 決別 4-6
あの人といると、こんな自分でも幸せになってもいいのだと思えた。
そしてそう思わせてくれたあの人にも、こうして変わらず一緒にいてくれた弥彦たちにも、感謝をしなければならない。
「なにがあっても負けちゃダメだよ。でも自分も大事にしなくちゃダメだから、ちゃんと幸せになりな」
「……ああ、わかってる」
諦めないとあの人と約束をした。もちろんなにが起きるかわからない不安はいまだにある。もしかしたらいままで以上に傷つくこともあるかもしれない。またなにかの選択に迫られるかもしれない。それでもほんの少しでもいいから、前に進んでいきたいと思う。隣であの人が笑っていてくれる限り、俺はこの先の未来を諦めないでいられる。
「西やんに会えてよかったね」
あの人に出会わなければ当たり前な日常も、自分が一人ではないことも、誰かを愛せることも、ずっと気づかぬままでいたかもしれない。あの人はいつでも俺の世界に光を与えてくれる。
「弥彦」
「ん?」
「いままで、ありがとうな」
「うん、これからもよろしくね」
いつもと変わらぬ穏やかな笑みと共に、目の前に差し出された弥彦の手は、その心のようにとても温かいものだった。人の優しさが胸に染み込むと、なぜだか心に素直になれそうな気持ちになった。
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