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第545話 決別 17-2
自分でも驚くくらい甘えを含んだ声が出た。
浴衣を肩まではだけさせ、誘うように藤堂に近づいた。でもそんな僕を見て藤堂は驚きをあらわにして固まっているだけだ。確かに普段の僕ならばこんなこと口が裂けても言わないし、こちらから迫るなんてことしないけど。でもいまは触れて欲しくて仕方ない。
ゆっくりと近づき、ベッドの端に腰かける藤堂の肩を押してベッドに倒すとその上に跨がる。しかし僕を見上げる藤堂は微動だにしない。なにもしてくれないのがもどかしい。藤堂の反応がじれったくて、身を屈めると藤堂の唇にキスをした。
そっと口内に舌を滑り込ませ、いつも藤堂がするように舌をすり合わせ絡める。けれどそれでも藤堂はなんの反応も見せず、応えてくれない。我慢できなくて覆い被さるように抱きついたら、拒むように両肩を押し返された。
「なんでだよ、いや?」
不満をあらわにして口を引き結んだら、藤堂の顔が困惑したものに変わる。いつものように優しく髪を梳いて撫でられるけど、その手にすり寄ったらすっとその手は離れていった。
心の中でくすぶる気持ちがもどかしくて、離れていく手を掴んではだけた浴衣の裾から伸びた自分の素足にその手を誘った。さすがにそれには藤堂も肩を跳ね上げる。そして再び離れていこうとする藤堂の手を僕は強く掴んで、それを肌の上を滑らすように触れさせた。制止の声がかかるけれど、ほとんどいまの僕には聞こえていなくて、なんとかして藤堂をその気にさせたくて必死だった。
「触ってくれなきゃ、いやだ」
涙声の甘ったるい誘うような声音。まさか自分の口からそんな声が出るなんて思いもよらなかった。
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