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第558話 決別 20-3

 誕生日やクリスマスくらいは、もらったりあげたりした記憶はあるが、なんとなくそういうイベントだからという義務感に近かったように思う。  そう考えると自分があまりにもひどい人間だったんだと愕然としてしまった。過去は振り返らないと決めたけど、いままでの子たちに申し訳ない気持ちになった。 「佐樹さん? なんだか難しい顔してるけど」 「あ、違う! これはちょっといままでの反省を、今後にちゃんと活かそうと」  心配げな顔をしている藤堂に何度も顔を左右に振って、なんとか誤解は解いた。嬉しいとか言いながら、気難しい顔をしていたらそれは心配にならないほうがおかしい。 「ちゃんと嬉しいから」 「それならいいですけど、もしかして佐樹さん。いままで彼女にサプライズ的にプレゼントをもらったり、してあげたりとか、経験ない?」 「えっ?」  いきなり核心に触れられて一瞬だけ息が止まった。藤堂の妙に勘が鋭いところは相変わらず心臓に悪い。苦笑いを浮かべて返すしかなくて、へらりと笑ったら吹き出すように笑われてしまった。 「なんとなく想像がつきます」 「そんなに薄情そうか?」  肩を震わせて笑う藤堂に目を細めたら、すみませんと謝られるものの笑いは収まらないようだ。あんまりにも笑うので、不満をあらわにして口を曲げてしまう。するとそんな僕に目を細めて藤堂は頭を撫でてくれた。 「いえ、そうじゃないですけど。うっかりしてそう」 「うっかりってなんだ!」 「目の前のことには一生懸命だけど。大事なとこでうっかり忘れちゃったりとか、ね」

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