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第595話 夏日 6-1
ぽかんと口を開けたままの僕を見て、峰岸はひどく楽しげな笑みを浮かべている。
「でもなんでだ?」
藤堂に告白する前に渉さんを呼び出した、それは事実。けれどあの時、そんなに人が大来するような場所に渉さんを呼び出した覚えはない。というよりも逆に、人がなるべくいない場所に呼び出したはずなのに、なぜ峰岸が知っているのだ。
「センセに悪戯して泣かせたあと、気になってセンセのことストーカーしたんだよな」
「ちょ、なんだそれ」
ははっと軽い調子で笑った峰岸にあ然としてしまった。あの日あのあと、こっそりつけられていたなんて誰が想像するだろう。なんでこうも峰岸は予想外な行動をするんだ。
「ずっと、見てたのか」
「ん、全部見ちゃった」
見ちゃった、とか満面の笑みで可愛い子ぶられても、こちらは気が遠くなりそうになるばかりだ。けれども晴れやかなほど眩しい峰岸の笑みからは、悪びれる様子はまったくない。
「そんな暗い顔しなくてもいいだろ。別に変なことはなにもなかったわけだし、ただのごめんなさい現場と告白現場だろ」
「は?」
呆れたように肩をすくめた峰岸の言葉に、一瞬耳を疑った。そして思わず悲鳴に近い叫び声が出た。
「お、お前っ、そっちまで見てたのかっ」
渉さんとのやり取りだけならまだしも、藤堂とのやり取りまで見られていたなんて、驚きのあまり魂が口から抜けるかと思った。あれは断じて人に見られていい現場じゃなかった。じわじわ恥ずかしさがこみ上げて、顔から火が出そうだ。魂も火も出てこれ以上どうしろと言うんだ、この羞恥プレイ。
「あ、そっちは遠くてよく聞こえなかった」
「聞かなくていいっ、っていうか見たことさえ忘れろ」
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