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第596話 夏日 6-2

「はいはい」  慌てふためく僕の頭をあやすように撫でて、峰岸は至極優しげに微笑んだ。 「お前、最悪」  そうか、知っていたから次の日、峰岸は僕にうまくいくとは思わなかったなんて言ったんだ。僕の態度が変わったとかそういうことの前に、もう知っていたんだ。  でも普通、好きな人のそんな場面に遭遇したら気分よくないよな。なのになんで峰岸は笑えるんだろう。 「あー、もう。なんかどっと疲れた。というよりもなんでお前とこんな話しなくちゃならないんだ」 「いや、俺もよくわからないけど」 「お前が渉さんのこと知ってるとか言うからだろっ」  しれっとわからないとか言う峰岸の肩口を拳で軽く叩けば、また楽しそうに笑う。なんだかすごく峰岸に振り回されている感じがする。 「ああ、そうだ。とりあえずあいつは呼べばいいんじゃねぇ? 写真部の校外に」  くしゃりと髪をかき乱すように僕の頭を撫でながら、峰岸は小さな子供みたいな顔で笑った。 「え?」  大したことではないみたいにあっさりと言うが、校外部活動に藤堂を呼ぶということは、渉さんと引き合わせるということだ。それって本当に大丈夫なんだろうかと不安になってしまう。  以前、渉さんに会った時だってかなり藤堂は不機嫌になったし、いま以上に藤堂の機嫌を損なったらと思うと正直胸が痛い。でもだからといってこのままでいても平行線だし、渉さんとはなにもないと、どこかで誤解も解いておかなければいけない。 「おーい、センセ、また一人の世界で考え込んでる」 「痛っ」  額に感じた痛みに顔を上げると、峰岸が苦笑いを浮かべてこちらを見ていた。どうやらぼんやりしているあいだにデコピンを食らわされたようだ。

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