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第597話 夏日 6-3
「悩むくらいなら行動あるのみ、だろ」
「え? あっ」
急に携帯電話を取り出した峰岸がどこかに電話をし始めた。それは何度かコールしたあとに繋がったようだ。
「早いな、バイトじゃなかったんだな」
「ちょ、峰岸っ」
「あ、いまセンセと一緒。いいだろ、夏休み中は一緒にいる時間が多いんだぜ」
伸ばした僕の手を避けるよう立ち上がった峰岸は、にやにやと笑いながら僕を見下ろす。そのあいだにも電話の向こうの相手、おそらく藤堂と峰岸は話を続けている。
「ふぅん、そうなのか。じゃあ聞くまでもなかったな」
先ほどまで笑みを浮かべていたのに、峰岸は途端に楽しみを削がれたようなつまらなそうな声を出す。そんな反応にこちらはそわそわとした気分になる。
「な、なに? なんだって?」
「写真部の来るってさ」
「え? ほんとか」
予想とは反した答えが返ってきて、思わず自分でもわかるほど声が明るくなってしまった。
「あー、はいはい。んな喜んだ顔すんなよ。つまんねぇ」
舌打ちして目を細めた峰岸に乱雑に髪をかき回されるが、夏休みの楽しみが増えたことに僕は舞い上がっていた。
「はあ、こんなんで一喜一憂してるようじゃ、お前らまだやることやってないんだろ」
「……って、お前なに言ってんだ」
一瞬、なにを言われているのかわからなかったが、峰岸の意地悪い含み笑いでその意味に気がつく。慌てて立ち上がり、携帯電話を奪おうと試みるが、身長差があるのでひょいと身軽にかわされ手が届かなかった。
「だってそうだろ。ほかの男が現れたぐらいでガタガタ騒ぎやがって。やることやってりゃ、もうちょっと余裕ってもんができるだろ。センセがやらしてやんないのがわりぃんじゃねぇ?」
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