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第631話 夏日 15-1
写真部の校外部活動の当日。僕は朝からバタバタと慌ただしく部屋の中を走り回りながら、鞄に荷物を詰めていた。そしてその合間につけっぱなしのテレビのチャンネルを変えて天気予報を探す。今日の天気は快晴、天気が崩れる心配もないようだ。でも最高気温の数字にほんの少し肩を落とした。夏真っ盛りなこの時期だから仕方がないけれど、今日も存分に暑いようだ。一日中外にいるから熱中症に気をつけなければいけないなとしみじみした。
「にーもーつは、よし、これでオッケー」
鞄の中身を再確認してファスナーを閉めると、それを斜めがけにして肩にかける。すると見計らったようなタイミングで携帯電話が鳴り出した。テーブルの上にあったそれを手にとって着信を確認する。届いたメールを読み、僕は慌ただしくテレビを消して玄関へと走った。そしてエレベーターで一階ではなく地下一階まで降りて、駐車場へと繋がる自動ドアを抜け、また走り出す。
来客用の駐車場入り口傍に見慣れた外車を見つけて近づくと、車にもたれて煙草を吸っていた人が僕の足音に気づいたのか、ゆっくりと振り向いた。そして満面の笑みを浮かべる。
「おはよう佐樹ちゃん」
「おはよう渉さん」
今日は一段とラフな服装だ。いつもならシャツにデニムくらいなのに、今日はTシャツに緩めのデニム素材のズボンにスニーカーだ。普段でも年齢不詳なのにますます若く見える。
物珍しく思いながら見つめていると、渉さんは煙草を携帯灰皿で捻り消して、それをポケットにしまう。そしてぼんやりしている僕に近づいて、ぎゅっと強く抱きしめた。
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