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第637話 夏日 16-3
「間宮お前なぁ、なんか峰岸に弱みでも握られてんのか?」
「ははは」
乾いた笑い声を上げる間宮にがっくりと肩が落ちた。これは絶対なんか握られているに違いない。
「まあ、二人に途中で拾ってもらったおかげで俺も間に合えたわけだし、大目に見てくださいよ西岡先生」
朗らかに笑う北条先生に返す言葉も見つからなくて苦笑いを浮かべてしまった。確かにここへ来てしまった彼らを追い返すこともできない。それに入り口に集まった人数はおそらく二十四、五人くらいはいる。まあ、一人二人増えたところで今更そんなに変わりもないだろう。
「マミちゃんの入園料は部費から出してもいいけど、あんたは自腹だからね」
「なんだよケチくせぇな、あずみちゃん」
「い、やーっ、名前で呼ぶなキモイうざい」
逃げ出すように走り出した片平のあとを、峰岸はにやにやと笑いながらのらりくらりとついて行く。増えるのはいいが、今日は予想以上に気合いを入れていかないといけない気がしてきた。
しかし突然の峰岸の登場に生徒たちは驚きと歓喜で浮かれ、会長っ、峰岸先輩っ、とあっという間に峰岸を取り囲んでいる。粗暴で横暴で傍若無人そうに見えて、実のところ懐深くて気配り上手な峰岸は、生徒からの人気はかなり高いのだ。伊達に生徒会長をやっていない。
そんな和やかな雰囲気に笑みを浮かべながら、北条先生と間宮も生徒たちと合流した。
「佐樹ちゃん」
「ん?」
「相変わらず、佐樹ちゃんってイケメンホイホイだね」
「渉さんっ、それやめて」
事の成り行きを黙って見ていた渉さんの言葉でますます肩が落ちて、頭も落ちた。
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