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第640話 夏日 17-2
そんな人がいきなり目の前に現れて驚くなというのが無理な話だ。
しかもその容姿は名前を大いに裏切る、金髪緑眼の超絶イケメン。その風貌は大抵の人が振り向きたくなるくらいの美しさを備えている。
「しーずーかーにしろっ」
落ち着きをなくした部員たちに片平が大声を上げると、そのざわめきは徐々に弱まりピタリと止んだ。仁王立ちしながら片平が部員全員を睨みつければ、皆佇まいを正して片平のほうを向いた。
「さっきも言ったけど今回は本当に特別なことです。今日ここに月島さんがいることを口外することも、許可なく写真を撮ったりすることも絶対に禁止です。もしも今回のことが外に漏れたり、月島さんの素性が漏れたりしたら、うちの部員アンド今日の同行メンバーからだということは明白です。もしもそんなことになったら連帯責任で全員、人生の汚点になるような罰を用意するのでそのつもりで」
一瞬空気がピンと張り詰めた。片平がにやりと笑うと、部員たちは顔を強ばらせながら直立不動になる。片平は統率力も凄いが、裏で握っていそうな情報などがさらに凄そうで、思わずこちらまで苦笑いが浮かんでしまう。
「まあ、とりあえず固くならずにね。俺でアドバイスできることがあればするので、遠慮なく声かけてくれていいから。で、その際はまずみんなの写真を見せて欲しいんだ。人は同じ場所を撮っても人それぞれの視点、感覚、反応などが違うから、決して同じものは撮れない。だから君たちの持つ色を俺に見せて。そうしたら君たちになにが必要なのかがわかるから」
「今日は全員デジタルカメラ持ってきたよねー?」
渉さんの言葉をじっと真剣に聞いていた部員たちは、片平の声に一斉に手を挙げて返事をした。いつもは北条先生のこだわりでアナログカメラなのだけれど、今日は渉さんの希望で全員デジタルカメラを用意してくることになっている。
その場で写真を確認できるのはデジタルカメラの利点だ。すぐに撮ったものを渉さんに見てもらえる。
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