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第671話 夏日 25-1
ほどなくしてあずみや弥彦たちと合流した俺たちは、佐樹さんが自由行動できることもあり、園内を回って歩くことにした。何度となくほかの部員たちと鉢合わせになり、写真を求められ断る俺とは反し、峰岸は声をかけられれば然して気にすることもなくそれに応えていた。
あの気安さは峰岸の長所であるから、こちらが気にすることではないが。それほど親しくもない他人のアルバムに自分の写真が収められるというのは、俺的にはあまり好ましくない。この拒絶感の原因の半分はあずみにあるのだが、当の本人はまったく悪びれる様子はない。最近までまだ隠し撮りしていると弥彦から耳打ちされ、きつく言い含めたが果たしてそれもいつまでもつか定かではない。
そんなやり取りの中で佐樹さんもまた多く写真を求められている。代理顧問もしていて、親しみやすい雰囲気もある彼だから、生徒たちに好まれやすい性質だ。そんな彼は頼み込まれると意外に断れないほうなので、うまく丸め込まれてしまうところがある。そしてそんな様子を見ているこちらは心配でたまらない気分になってしまう。
「ありがとうございますっ」
頭を下げて去っていくその姿と声に俺が気づく頃には、ひらひらと手を振って峰岸と佐樹さんが笑みを返していた。そんな姿にほっと息を吐くと、傍にいたあずみが口元に手を当てながら小さく笑った。その癖はなにか悪巧みをしていたりすることが多い。しかし眉をひそめて見下ろせば、なにを言うでもなくあずみは道を歩き出した。
そんなあずみを先頭に弥彦と峰岸が続く。佐樹さんはほんの少し距離を置きながらも、俺の斜め後ろを歩いていた。これが学校の部活動などでなければ、すぐ傍にいる彼の手を握りしめているところだ。そっと後ろを振り返れば、視線に気がついた佐樹さんが顔を上げて小さく首を傾げる。そんな不思議そうに瞬かせる瞳と可愛らしい表情に、思わず自然と笑みがこぼれてしまう。
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