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第679話 夏日 26-4

 けれど一度目の集合写真が撮り終わると、ゆっくりとした足取りであずみに近づいていった。 「俺も集合写真に入っちゃ駄目?」 「え? はっ? ヘ?」  突然の月島の申し出に珍しいくらいあずみが慌てふためき、目を見開いて驚きをあらわにしている。あまりにも予想外のことだったのだろう。目に見てわかるほどうろたえ、言葉をうまく飲み込めていないようにも見えた。 「いや、なんかさ。俺も思い出が欲しいなって思ってさ。駄目かなぁ?」 「あ、でもっ、いえ、私たちは構わないんですけど、いいんですか?」 「うん、ただ今日のことは全部、俺とみんなの秘密ってことでお願いできたら」  月島の要望は部員たちの耳にもちろん届いていた。全員がそわそわとし始めて、どうなるのだろうかと好奇な視線をあずみと月島に向けている。首を傾けあずみの返事を待つ月島と少し考えるように俯くあずみ。 「わかりましたっ、二枚目の写真はあくまでも個人所有で渉さんの素性は内密にします。……で、全員文句ないわよね?」  顔をパッと持ち上げたあずみがぐっと広角を上げて笑い、勢いよくこちらを振り返った。すると写真部全員は飛び上がるように喜び、片平の問いかけに全員手を挙げその条件を二つ返事で受け入れる。 「ついでにあれもいい?」 「え? あ、もちろんですよ」  ふいに後ろを振り返った月島は、木陰で腕組みしながら立っていた瀬名を振り返る。視線の先を認めたあずみは満面の笑みで承諾した。しかし当の本人は急に自分に振られた話に戸惑っているのか、困惑した面持ちになっている。けれど「早く」と月島が促せば、少しばかり渋々の態ではあるが瀬名は月島のもとへ歩み寄り、一緒に整列した部員たちの傍に歩いて行った。 「渉さん後ろでいいんですか?」 「うん、端っこでちょっと写ってるだけで十分」  後列の端に立った月島にあずみは首を傾げるが、言葉の通り月島は至極楽しげに笑う。月島の隣に並んだ瀬名も含め、改めて微調整すると、あずみは再び「それじゃあ、いきます」と声を上げ、走った。

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