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第680話 夏日 27-1
時刻は十六時三十分――きっちり時間通りに撤収作業を終わらせ、あずみを筆頭にぞろぞろと写真部員やほかの参加者も公園外へ移動し始めた。そしてその後ろを歩いている佐樹さんの近くを峰岸と間宮と三人で歩いていると、公園の管理者に挨拶を済ませたらしい北条も少し遅れて出てきた。全員が揃うと出入口から外れたところで、再び帰宅の注意を促し皆一斉に解散となった。
参加者のほぼ全員が電車移動だ。車なのは大人組とそれに便乗している峰岸、あとはクーラーボックスなどの大荷物があり、母親が迎えに来るあずみと弥彦くらいだ。そんな中、あずみは解散の合図と共に部員たちを早々に駅へと送り出し、佐樹さんを車に誘う間宮も追い払いにかかった。
しかし間宮は普段の大人しさとは裏腹にしばらく食い下がり、頑なに攻めの姿勢を崩さない。その勢いにはさすがの佐樹さんも表情が困惑したものに変わる。けれど隙を見せないあずみの思惑に気がついたらしい峰岸が、わざとらしく催促して間宮を呼び寄せる。
「マミちゃん早くしろよ」
後部席のドアを開けて車体にもたれかかる峰岸は、呆れたようにため息をついて肩をすくめる。けれどそれに少し振り返った間宮は、またすぐに佐樹さんに向き直った。
「いや、あと一人は乗れますし、西岡先生は片平さんたちとは家の方向違いませんでした?」
「えっ、いや、でも通り道だし」
勢いに気圧され苦笑いを浮かべている顔がかなり固くなってきた佐樹さんは、ますます引きつった笑いになってきた。彼の性格上あまりこのまま押し通されると、勢いに流されて頷いてしまいそうな懸念がある。
「おいおい、マミちゃんなんで方向とか知ってんだよ。その意気込み怖いっつーの」
今日一日ほとんど佐樹さんと一緒にいられなかったのが、よほど不満なのだったのだろうか。峰岸の揶揄さえも間宮は半ばスルーしている。あからさまに執着心をあらわにされると俺まで苛々とした気持ちになってくる。だが北条もいるこの場で俺まであからさまな態度は取れない。
しかし募る苛々を収めきれず、不機嫌さを隠さないまま間宮へ視線を向けると、ほんの少し怯んだような表情を浮かべた。
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