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第733話 夏日 40-1

 あまり重たく話をするのはよくないだろうと、アイスの袋を裂きながら僕はのんびりソファに腰かけ、その隣を何度か叩いて藤堂に目配せする。アイスをくわえながら見上げる僕の視線に少し戸惑った様子を見せながらも、藤堂は促す僕の隣に腰かけた。 「さっちゃんはお父さん似なのよ」 「姉さんたちはみんな母さんに似たよなぁ」 「そういえばお姉さんたちは佐樹さんに似てはいるけど、佐樹さんだけちょっと雰囲気が違いますね」  上の二人はどちらも性格がかなりはっきりしている面が強いので、のんびりした雰囲気の母と少し印象は違って見えるが、やはり顔がよく似ていると思う。僕はそんなにかけ離れて顔立ちが違うというわけではないが、やはり父親似だと思う。 「そうだ、うちはアルバムがたくさんあるのよ」  ほんの少し不思議そうに首を傾げた藤堂に、母はぱっと明るい笑顔を浮かべて立ち上がった。そしてリビングから続く和室へと足早に消えた。その様子を見て僕は少しだけ肩を落としてしまう。 「母さん余計なの出してこなきゃいいけど」  けれど僕の危惧したことは回避されることはなかった。両手に抱えてきたその量と、そのアルバムの古さに僕はますますうな垂れてしまう。黙々とアイスを頬張る僕を藤堂はまた不思議そうに目を瞬かせながら見つめ、汗のかき始めたアイスの袋を開けた。 「これ可愛いでしょう。さっちゃんの七五三でこれがうちのお父さん」  嬉々としてアルバムをめくって藤堂に披露する母は実に楽しげだ。時折こうして他人に僕の写真を見せては子供みたいに母は無邪気に笑う。父が撮ったものがほとんどなので高校くらいまでの写真ばかりが多いのはわかるのだが、わざわざ小さい頃の写真まで持ち出してくるのだ。愛されていることはすごく実感するけれど恥ずかしさのほうが遥かに強い。 「佐樹さん子供の頃から顔立ちあまり変わってなくて可愛いですね」 「変わってないとか言うなっ」

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