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第734話 夏日 40-2

 じわじわと熱くなる頬に俯きがちに藤堂の膝を叩いたら、楽しげに藤堂と母に笑われた。 「ああ、でも本当にお父さんによく似てますね。優しい穏やかそうな雰囲気とか、笑った顔がすごくそっくりだ」 「そうか?」  父の写真を指差す藤堂の横顔を見つめれば、至極優しい笑みを返された。あまり藤堂の環境がいい状態ではないので、家族の話はしないほうがいいかと思っていたけれど杞憂だっただろうか。それとも母に合わせてくれているのだろうか。そんなことを思いながら、母と藤堂のやり取りを見つめてしまうが、その答えはわからなかった。けれど優しい藤堂の笑顔は信じたくて、ソファに置かれた藤堂の手をそっと握った。 「明日はみんなで写真撮りましょうね」 「あ、うん。藤堂も一緒に撮ろうな。うちは家族全員揃うこと滅多にないから、神社の納涼祭の日は家族みんなで写真を撮るんだ」  母の言葉に首を傾げて振り向いた藤堂に、僕はアルバムのページをめくりその写真を指差した。そこには去年の写真が収められている。引き伸ばされた集合写真は家族全員が揃ったものだ。そのほかにも神社での写真も何枚かある。保さんや僕が撮ったものがほとんどだから母や詩織姉、佳奈姉の写真が多い。 「お母さんやお姉さんたち浴衣素敵ですね」 「本当はさっちゃんたちにも着せたいんだけど、二人とも着てくれないのよ」  浴衣は姉たちがそれぞれ好きな反物を選んでおき、毎年のように母が新しく三人分を仕立てる。せっかくだからと保さんや僕の分もと一時期言い出したが、二人揃ってそれは遠慮させてもらった。保さんの場合は手間をかけさせるのが申し訳ないという理由だろうが、僕の場合はただ単に面倒だからだ。 「動きにくいから着たくない。藤堂は着たことあるか?」 「ないですね。結構昔から身長があったので、既製品は合わないことが多かったですし」 「ああ、確かにお前昔から背が高かったよな。初めて会った時も既に僕より高かったしな。いまは身長いくつだ?」

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