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第746話 夏日 43-3

 家に入ると姉たちは二階へ行き、保さんは納屋のほうへ釣り道具やテーブルなどを片付けに向かった。そして僕と藤堂、片平と三島は母に促されてリビングへと通された。そわそわとしている片平と三島をソファに勧め、僕と藤堂も向かい側のソファに腰を落ち着ける。するとさほど時間を置くことなく、母がグラスに入れた麦茶を人数分トレイに乗せやってきた。 「外で待ってて暑かったでしょう」 「大丈夫です。そんなに待ってはいなかったので、ありがとうございます」 「ありがとうございます」  テーブルに置かれたグラスに片平と三島は頭を下げて笑みを浮かべる。けれど落ち着かない様子を見せる三島同様に、普段は取り乱すこともない片平もまだどこかそわそわした雰囲気を隠せずにいた。そしてそんな様子に母は恐らく気づいているのだろう。けれどその場を離れることなく、背もたれのない一人がけのベンチソファに腰を下ろした。そして視線を藤堂へと向ける。 「優哉くんなにがあったのかおばさんに教えてもらってもいい?」 「あ、はい」  その視線に少し背筋を伸ばした藤堂が応えると、母はまた優しく微笑んだ。問い詰めるような雰囲気ではなく、母は受け止めるような姿勢なのだろう。  それからしばらく藤堂が主軸に、時折片平や三島も混じりながらことの経緯を話してくれた。最初の問いかけ通り、藤堂は片平と三島の家族と共に、ここにいる三日間はキャンプに参加していることになっていたようだ。けれどたった三日でも藤堂の母親は藤堂の動向が気になって仕方がないらしい。  いや、実質二日も経っていない。けれど片平や三島、そして二人の実家にまで電話をかけてきたらしく、転送機能で三島の父親と片平の母親のところにも電話がかかってきたという。

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