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第757話 夏日 46-4
そんな話をしているとすぐに順番が回ってくる。賽銭を投げ入れ鈴を鳴らし、丁寧にお辞儀しながらなにを祈ろうかと頭を思い巡らせたが、藤堂のことしか思い浮かばなかった。できればこの先もずっと一緒にいたい。だから末永く藤堂と一緒にいられますようにと心から願った。
ほぼ二人同時に頭を上げ、僕たちはその場を離れた。
「おみくじ、引いてく?」
「いつ以来だろう」
「あんまり引かないんだ」
「ですね」
意外と当たると評判があるここのおみくじは毎年来るたび引いている。そんなに占いを信じているわけではないけれども、習慣的なものだろうか。この神社のおみくじは手を突っ込んで取るやつでもなければ、棒状のおみくじでもなく、生まれ年や誕生日を計算して出た数字で引くくじが決まるというやつだ。
数字に従いそれぞれおみくじを手にすると、じっと折り畳まれたおみくじを見つめてしまう。ついつい祈るような気持ちになってしまうのは吉凶を気にする人間の心理か。
「あっ、吉だ。藤堂は?」
「俺は末吉ですね」
「お互いぼちぼちだな」
手元を覗き込み藤堂のと自分のを比べてみる。恋愛運は「いまの人が最上、良縁」が僕で、藤堂のは「他人に惑わされるな」とほんの少し意味深なお告げだ。けれどおみくじはいくら当たると評判でも、あくまで気持ち的に気をつけようと思う程度が望ましい。
「にわかにことを成せば災いあり、か」
「うん?」
「いや、この願望のところ、気をつけようと思って。これから佐樹さんに色々となにかまた面倒かけるようになったら困るし」
苦笑いを浮かべておみくじを折り畳んだ藤堂は、素早くズボンの後ろポケットにしまってしまった。けれど願望ということは、先ほどお参りをした時の願い事は僕と一緒だったのだろうか。淡い期待を抱いて胸がドキドキとした。
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