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第763話 夏日 48-2

 いつもは大人びて僕が負けてしまうほどだけれど、片平や三島といると歳相応な姿が垣間見られるので正直言って嬉しい気持ちになる。  もっと色んなことを感じてたくさん笑って欲しい。そう思わずにはいられない。そしてまた来年もこうして過ごせたらどんなにいいだろうかと、それを想像すると少し胸が熱くなる。  これからもっと傍にいる時間が増えたら、どんな風に僕たちはなっていくのだろうか。多分きっとたまには喧嘩もするだろうなとは思う。いまはまだ遠慮がお互いにあるけれど、距離が近くなればその分だけぶつかるところも増えてくる。  いまは離れている時間が少しでも長いと物足りなくなってしまうけれど、お互い毎日が忙しくなってすれ違いになっても平気になったりするのだろうか。それとも傍にいればいるほどに、離れている時間が寂しくなるのだろうか。  藤堂と僕のこれからはどんな世界だろう。しかしそう思うたびに様々なことが次々と浮かんでくるけれど、想像ばかりではわからないことだらけだ。しかしそんな未来を心に描くのはなんだか楽しい。  まだ先のことなのに、色んなことを想像してしまう自分がおかしくて小さく笑ったら、傍にいた母が不思議そうに首を傾げた。 「佐樹さん」  ふいに声をかけられて振り返ると、先ほどまで片平や三島と一緒にいた藤堂が目の前に立っていた。不思議に思い首を傾げると長細いひも状のものを差し出される。 「線香花火?」 「一緒にやりませんか」  小さく首を傾げた藤堂にじっと見つめられていると、自然に手が伸びていた。指先で僕が花火を摘めば藤堂は僕の横に座り、先ほどまで傍にいた母は気を利かせてくれたのか、リビングの姉たちのところへ戻っていた。 「佐樹さん、これ先に落としたほうがキスすることにしましょう」 「えっ!」

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