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第815話 疑惑 13-2
箱に視線を落とすと宅配伝票が貼られており、宛先も差出人も僕になっている。
「なんなのかな、これ」
気分がずんと重たくなる。覚えのない小包はこれで三度目だった。どれも自分が差出人で、中身もまったく覚えのないものだ。一度目は先月の初め頃で、母親が受け取りしばらく存在に気づかなかったが、先月末に二度目が届いた時にはさすがに宅配業者に受け取りを拒否したいと申し出た。けれど差出人も僕自身になっているためそれはできないと断られてしまった。
今回も同じだろうと、仕方なく気味の悪い小包を片手に僕は部屋へと向かった。
「うーん、まさかなにか関係あるのか?」
テーブルに置いた小包を見下ろしたまま僕はしばらく一人唸っていた。この箱を開けるか否か、それだけのことを悩んで随分と時間を消費している。差出人不明の荷物を開けたくない気持ちは強いのだが、開けぬまま捨てるのは気持ちが落ち着かない。いままでと中身が同じならばいいが、危険物でも入っていたら大変だ。箱の軽さを考えると杞憂である可能性のほうが高いのだが、もし万一にと言うこともある。
「藤堂にそれとなく聞いてみるか」
部屋の時計を見れば、時刻は二十時を過ぎたところだ。いつも通りであればまだ藤堂はバイト中だろう。
「なにも言ってこないってことは、なにもないんだろうけど」
言い訳めいたことを呟きながら、僕は鞄から携帯電話を取り出した。そしてメール画面を開きしばらく悩んだあとに、意を決して文字を打ち込んだ。
――最近お母さんに変わったことはないか?
打ち込んだメール画面を見つめて、僕はしばらく送信ボタンに指を置いたまま固まってしまった。この文章を送ることでいらぬ心配をかけてしまうかもしれないという不安、それが何度も頭をよぎる。
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