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第846話 疑惑 21-1
小さな脳みそで僕が尽きないことを悩んでいるうちにも、時間は過ぎていくもので、文化祭の一般公開日はやってきた。毎年人入りの多いイベントだが、今年は輪をかけて来客数が多いように感じられた。生徒たちの前宣伝の賜物だろうか。賞金がかかっているからみんなの本気度が目に見えてわかる気がする。
そんな賞金額の高さは学校側でもかなり注視されているので、早朝から職員会議が行われてトラブルなどが起きないよう職員総出で見回りをすることとなった。小休憩を挟んでほとんどは校内巡回に時間を取られそうだ。
「これだけ気合いが入っていると、どこが優勝してもおかしくないな」
「そうですね」
オープンと同時に人がやってきて校庭は人がいっぱいだ。そんな様子を三階の窓から眺めて思わずため息をついてしまった。そんな僕の横では生徒会の腕章をつけた間宮が苦笑いを浮かべている。
「それにしてもよく保護者会で賞金額が問題にならなかったなぁ」
「ならなかったわけではないみたいですよ。プリペイドカードは一万円ごと五枚に振り分けられて、使用の際には領収書の提出が義務づけられたみたいです。一部の生徒のみが使用してしまうことがないように、ですかね」
「へぇ」
大人が手にしても大金だ。子供に簡単に渡してしまえる金額でないことを認識しているのならば、それも少しは抑止効果になるかもしれない。
「はい、西岡先生もこれつけてくださいね」
「やっぱりか。これをつけると今日一日なんでも屋にならないといけないんだよな」
間宮に差し出された腕章を見下ろし再びため息が出てしまった。生徒会は文化祭の本部になるので、その役割は多岐に亘る。文化祭実行委員の管理も出店クラスも、そして生徒も取りまとめなくてはいけない。
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