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第847話 疑惑 21-2
「面倒なところは私と生徒会が引き受けるので、西岡先生は巡回に集中で大丈夫ですよ」
「いや、こんなところで甘えるわけには行かないからな。ちゃんと役割まっとうするさ」
間宮を筆頭に、生徒会はなんだかんだと僕を甘やかしてくれる。普段はそれについ寄りかかってしまうのだけれど、今日ばかりはそうもいかないだろう。みんな休みなどとっている暇もないくらいに忙しくなるだろうことが想像できる。
「気負わずちょっと楽しむくらいで頑張ってください」
「そうだな」
「じゃあ、なにかあったらお渡しした携帯電話で内線お願いしますね」
「了解」
笑顔で颯爽と歩いていく間宮の姿を見て、ずいぶん成長したんだなと思わず感慨深くなってしまった。しかしいつまでも右も左もわからない後輩というわけではないのは当然か。少しばかり寂しくも感じたけれど、成長するのはいいことだと思い直して、校内地図を片手に僕も足を踏み出した。
「ほんと盛況だな」
行く先々で賑やかな声があちらこちらから聞こえてきた。どのクラスもそこそこ人が入っていて、閑散とした雰囲気のところは見かけない。これだけ人が溢れていればお祭りとしては成功と言ってもいいだろう。
「西岡先生!」
「頑張ってるか」
廊下を歩いていると、ひょっこりとタイミングよく教室から顔を出した女子生徒が二人ほどこちらに駆け寄ってきた。
「寄って行ってー!」
「悪いな、先生は見回り中だ」
無邪気に腕を絡めてくるその勢いに驚いてしまうが、いまの子は意外と他人に対するパーソナルスペースが狭い。しかしべったりとくっついているわけでもなく、ここで無理に引き離すのもなんとなく突き放すようで可哀想なので曖昧に笑ってしまった。
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