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第851話 疑惑 22-2
「え?」
どんな尾ひれがついて伝わったのだろうかと心配になるほどの慌てぶりだ。驚いて立ち尽くす僕を間宮はひどく心配げな面持ちで見つめる。
「大げさだな。擦り傷とたんこぶができただけだぞ」
落ち着かない様子の間宮に僕はほら、と額を見せた。すると食い入るようにまじまじと額を見つめられる。そんな反応に苦笑いを浮かべたら、ようやく間宮は大きく長い息を吐き出した。
「よかった」
「あらあら、二人とも慌てん坊さんね。気をつけて巡回してくださいね」
「ありがとうございました。お前は慌て過ぎだよ、まったく」
うな垂れるように下を向いている間宮の頭を軽く手のひらで叩き、僕は医務の先生に会釈をしてから廊下に足を踏み出した。その後ろを間宮は慌ただしく追いかけてくる。
「怪我、大きくなくてよかったです」
「どう伝わったらさっきみたいな慌てっぷりになるんだよ」
「すみません。怪我をしたって聞いたら気が動転してしまって」
あの場に居合わせた生徒には、騒ぎにしたくないので詳細を口外することはしないでくれと念を押した。制服を着た人物に殴られただなんて、そんな話が流れたら文化祭が中断されてしまうかもしれない。それに犯人捜しだなんて大ごとになったらそれもまた厄介だ。
なぜそんなことになったのかなどと聞かれても、正直答えようもないし。変に探られてほかの事件のことまで知られたら収集がつかなくなる。
「まあ、心配かけて悪かったな」
「いえ私も早とちりしてしまってすみません」
それにしても写真のことといい、事故のことといい、なんの意味があるのかわからない。僕になにか危害を加えることが目的なのだろうか。
「あ、そうだ」
「どうしたんですか」
「あー、いや、人を待たせてたことを思い出して。悪いちょっと抜けるな」
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