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第859話 疑惑 24-2

 女子は鳥羽と同じえんじ色のワンピースに白いフリルエプロン。男子は白いシャツに黒のベスト、ギャルソンエプロンにスラックス。統一された服装も部屋の装飾同様、細かなところまでこだわりが見られる。 「こちらでお待ちになって」 「ああ、なんだか悪いな」  ほかの席から少し離れた衝立の横にある席に通され、僕は進められるままに腰を下ろした。なんだかまったく仕事をしていないなと思いながら室内を眺めていると、ふいに視線が遮られる。近づいてきた人に顔を上げれば、少し困ったような顔をした藤堂が立っていた。 「あ、藤堂」 「いらっしゃいませ」 「……営業スマイル、できてないぞ」  ぎこちない笑みに小さく笑ったら、藤堂はますます複雑げな表情を浮かべる。そんな顔が可愛くてじっと見つめていたら、ふと違和感を覚えた。その違和感はあまりにもこの状況に自然と馴染み過ぎて、なかなかそれに気づくことができないほどだった。 「なんで眼鏡してないんだ」  そして違和感の正体にようやく気づいた僕は、思わず不満げな声を漏らしてしまう。僕の横に立った藤堂は普段学校でしている銀フレームの眼鏡をかけていない。学校ではまず外すことはないのにと、目を細めたら苦笑いを返されてしまった。 「これは致し方なくです」 「鳥羽の営業戦略か?」 「まあ、そんなところです」  普段とは違うセットされた髪型や衣装のおかげで、今日の藤堂はかなり男前度が割り増しだ。そんな藤堂を見ていると雑誌に掲載された写真を思い出す。夏休み明けに撮影したものがつい最近雑誌に掲載され発売になった。藤堂に関する詳細は一切公開されていないが、一緒に写っているのが峰岸だったので気づく生徒は多かったと思う。現に発売されてから校内では雑誌の話はよく耳にした。  そしてそれが校外へ発信されるのも多分早かっただろう。

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