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第861話 疑惑 24-4

「そっか」  デジタルカメラで撮った写真をその場でプリントアウトして渡すという仕組みのサービスは、悪用防止に学校名や日付などをデザインフレームに加えた手の込んだものだ。しかしなんとなく知らない誰かと一緒に写ってるのかと思うと、心の内がもやっとした気分になる。 「うん、悪い。ちょっと心が狭過ぎた」  生徒のお祭りでふて腐れていても仕方がない。少し大人になろうと藤堂を見上げたら、優しく目を細めて微笑み返してくれた。いまはその笑みで我慢をしようと思った。 「あ、了解」  しばらく二人で顔を見合わせていたら、ふいに藤堂が耳元に手を当てて小さく呟いた。それを目に留めて僕は思わず首を傾げてしまう。けれどよくよく見れば、右耳にイヤホンマイクがついている。 「なんだそれ、インカム?」 「そうです。これで注文取りに行ったり、写真のほうへ行ったり」  そういえば広い室内だというのに、声が飛び交うという場面が見受けられない。皆アイコンタクトとインカムで情報をやりとりしているのか。確かにインカムがあれば小さな声でもやりとりができるし、的確に物ごとを進められる。おそらく全員着用しているのだろう。 「すごいな。お金かかってるんじゃないのか」  揃えられた制服や調度品、管理システムなど文化祭レベルではない気がして思わず心配になってしまう。 「衣装とか揃えたものは借り物です。なにせ仕切っているのは鳥羽ですからね」 「あ、あーそうか、借り物な」  確かに取り仕切っているのが鳥羽ならば、このくらいの借り物は容易いのかもしれない。それに金銭的に問題がない借り物であれば文句のつけようがない。しかしここにあるどこまでが借り物なのだろうかと、桁違いな仕様に意気込みのすごさを感じた。

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