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第869話 疑惑 26-4
さすがにここまで来ると無下にして断るわけにもいかない。藤堂に会うのは楽しみだったが、明日は休みだし予定をずらしてもらおう。明良に了承の旨を伝えると僕は藤堂に謝罪のメールを送信した。
「西岡先生」
送信完了の文字を見つめて大きなため息をついていると、急に背後から呼びかけられる。
「あ、間宮か」
携帯電話をポケットにしまい振り返ると、戸口に間宮が立っていた。こちらを見る視線に笑みを返せば、間宮はゆっくりと職員室に足を踏み入れる。
「今日は色々と悪かったな」
「いえ、こちらこそ手伝っていただいて助かりました」
「僕は大したことはできていないぞ」
朝から自分のことでバタバタして、のんきにお茶までしていた有様だ。校内を見て回ったのは午後の三時間程度だ。
「西岡先生はこのあとほかの先生たちと一緒に食事へ行かれますか?」
「え? そっか、打ち上げをやるのか。んー、いや僕はこのあと予定があるから行けないな」
ここ数年イベントごとの打ち上げには参加していないので、少しくらい顔を出してもいいが、明日は休みだし盛り上がると遅くまで引き止められてしまう可能性がある。明良の話も気になるので今日はやめておこうと思った。
「間宮は行くのか?」
じっとこちらを見ている間宮に首を傾げてみせると、少し慌てたように肩を跳ね上げたが、すぐに顔を横に振る。
「……いえ、私も今日は予定があるので」
「そうなのか。あ、生徒会の片付けとか手伝うな」
気がつけばぼんやりしている間に十分くらい過ぎていた。生徒会は生徒たちの片付けが済んだあとに使用した教室などの点検を行うのだ。それに投票箱の回収と保管もしなくてはならないのでやることはまだまだ多い。
「なにからしたらいい?」
またなにやら悩ましいことが増えて気になることは多いが、いまここで考えていても答えが見つかるわけでもない。気持ちを切り替えるように足を踏み出すと、僕は間宮の肩を叩いて前を向いた。
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