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第873話 疑惑 27-4
「最近お前の周りは物騒だからな」
「え? 心配してくれたのか」
「腹減ったからコンビニ行かねぇ?」
「……なんだよ、ついでじゃないか」
少しばかり期待した僕が馬鹿だった。ムッとした顔を隠さず明良を見ると、笑いをこらえて口元を歪めている。その様子に少しばかり腹が立ったので僕は思いきり力を込めて明良の背中を叩いた。しかし腹が減ったというのは本当だったらしく、マンションに向かう前に駅前のコンビニに立ち寄った。
「そういえば、気になることってなんだ」
「んー、着いてからな」
コンビニを出たあと道すがら話を聞こうと話しかけてみるが、明良はこちらに視線をくれたもののすぐに前を向いてしまった。そんなに込み入った話なのだろうか。仕方なく口を閉ざすと、僕もまた視線を前に向けた。
駅からマンションへ向かうには大きな公園の傍を通らなくてはならない。それはとても大きな公園で、園内には池などもあり、朝や昼間にはジョギングをする人やのんびりと散歩をする人、ベンチなどでくつろいでいる人が多く見られる。
春には桜、秋にはもみじが綺麗なこの辺りでは有名な公園らしい。ただ夜になると木々も多いため薄暗く、ひと気もなくなるので立ち入るのは少し躊躇われる。この辺りは閑静な住宅街なので静けさも広がって、小さな虫の音くらいしか聞こえない。
「あ、ちょっと待った」
しばらく黙々と歩きマンションにたどり着くと、明良がエレベーターの少し手前で立ち止まった。
「どうした?」
「いやちょっと郵便受け今日見ていなかった」
呼び止める声に振り返れば、明良は後ろのエントランスホールを指差しちょっと待っていろと言う。踵を返して自動ドアを抜けて行くそんな姿を見送り、とりあえず上階で止まっているエレベーターを呼ぶために僕はボタンを押した。そしてしばらくすると明良は大きめの封筒を手に戻ってきた。
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