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第875話 疑惑 28-2
「いつも外か?」
「ああ、部屋に煙草の臭いが付くのが気になってな」
「空気清浄機でも置けばいいのに、冬は寒いだろ」
「最近は家ではそんなに吸わねぇのよ」
数分ほど煙草に火を灯していた明良は、外に置いてある灰皿で短くなったものをねじり消した。
「お前さ、学校ではなにか気になることとか変わったことはねぇの?」
「変わったこと?」
ひんやりとした空気と共に部屋に戻ってきた明良を僕は首を傾げて見つめる。ここ最近のことを思い返しても、学校ではこれといった変化はない。しばらく考え込んでから、僕は今日のことを思い出す。
「変わったことといえば、今日あれから写真が僕の机に置いてあったんだ」
床に置いていた鞄を引き寄せて僕はしまいこんでいた封筒を取り出した。さし伸ばされた手に渡すと、明良はその写真を見ながら小さく唸った。
「ほかには? 今日だけに限らずなにかないか」
「いや、特にないと思うけど」
今日の出来事のほかに思い当たるようなことはこれといって思い浮かばない。しかしなぜ明良は学校にこだわるのだろう。
「学校の誰かに今日ここに来ること言ったか? 彼氏以外な」
「え? 藤堂以外? うーん、言った相手は一人いるけど、なにかまずかったか?」
「いや、別にまずくはない。そいつの連絡先とか知らないか」
「は? 連絡先? なんでだ?」
なにをどうしたらその結論に到達するのかがわからない。思わず訝しんでしまったのが顔に出たのか、明良はふっと息を吐いて肩をすくめた。
「今日学校でお前に会ったあとからずっと、学校出るまで視線感じてな。お前誰かにあとつけられてないか?」
「あとをつける? って、まさか。そんなことするようなやつじゃないぞ」
学校の人間で今日ここに来ることを伝えたのは、一人だけだ。その相手にあとをつけられているなんて、考えも及ばなかった。大体なんのためにそんなことをするのだ。
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